〜ここまでのあらすじ〜
異動をきっかけにヒマヒマになり、モラトリアムを活かして色んなチャレンジに踏み出す事に。
かくして、池袋のオタク婚活パーティーに潜入したアキラ。
女性からの好意を示すメッセージカードを16人中13人から貰うという、
アキラ人生史上最大のモテ期が到来。
アキラ「人生で3回しかないモテ期をこんなところで消費してしまうとは失態です」
とのコメントを後に残しているが、問題はここから。
性交なくして成功とは呼べない
(アキラ 1988〜)
目的を達成することはできるのか!?
〜ここから本編〜
メッセージカードを貰って戦略タイムの後は、いよいよフリータイムである。
フリータイムは3回あり、自分で気に入った相手の所に行って話ができる。
男性が女性の元に行くフリータイムがはじめにあり、その次に女性が男性の所に行くフリータイム。
最後のもう一度男性が女性の元に行くフリータイムがあり、その後は決戦投票。
最終投票では第3希望までの女の子の番号を書くことができて、両思いが成立すればその場で連れ出しできるというシステム。
うん、なんだかテレビ番組みたいで楽しい。
楽しいのは多分、カードいっぱいもらってるからだろうけど。
ていうか、私が封筒開けた時周りの男があいつ・・・何者だ??みたいな感じになった。
強キャラになった気分である。
さっきまで軽蔑の眼差しを向けてた男の子が「よかったらLINE教えて下さい」と言ってきた。
ちなみにこの彼、この後私に弟子入りした。
ちょいちょい合コンやらナンパに連れていって育ててあげた彼だが、目的が結婚だったので彼女ができるとすぐに結婚してしまったが・・・それはまた別のお話。
あと、メッセージカードには
自分に好意を持っている女の子の番号が当然ながら書かれている。
それと、自分がメッセージカードを送った女の子が他に何人の男からカードを送られているかが書かれているので、
気分はハンター試験である。
マジでこういう感じ。(番号札しまわないけど)
皆でチラチラ胸の番号札のナンバーを確認しあって様子を伺う。

私はそもそもの目的がハントなので、好みとか年収とか関係なく女の子を選ぶ。
というか、3枚プレートを奪えればハンター試験は合格だから、できればフリータイム中にLINEを聞いて3番ゲして狩れたら最高だ。
まあ、自分の目当ての女の子とセックスできれば3点のプレートという事にしよう。
というわけでフリータイム。
私は一番服装のセンスが良かったゆみこの前に座った。

こんな感じのコーデ。
職業は事務。休みの日は買い物か友達と遊ぶか。趣味は旅行。
絵に描いたような普通のOL。
アピールタイムでもハワイとかセブ島とか行ったことある旅行先の普通の話しかしていない。
普通にかわいいので、男からもおそらく一番人気で、競合相手が6人いると記されていた。
ここでアクシデントが発生。
このフリータイム、座りたい相手がかぶった場合 二人まで同時に座れるのである。
椅子取りゲームに負けても話したい相手と話せるのだ。
でもって、意気込みが私とは違う本気で交際を狙っている男性陣の鼻息は荒かった。
私が彼女と話そうとする横からガンガン競合相手の男が遮って話を振るので、会話がうまく繋がらない。
これは誤算。
最後に、「落ち着いて話せなかったからLINEして下さいね。ID書いておきましたから」と伝えておいた。
澄ました顔でフリータイム終了。
二回目の女子が動くタイムでは、4人くらいの女の子が私のところを目掛けて座ろうと近づいてきたが、一人の女の子が椅子取りゲームに勝利したら残りが散って行った。
これはありがたい。
日本人の気質として、既に誰かが座った所に割って入るのは勇気がいるからこっちの方が多い反応だろう。
座った女の子はちょっとたぬき顔の医療事務をしている美穂(仮名)。
当時の私と同年代の27歳で、愛知県出身だったので話が合ったのを記憶している。
フリータイム中は対して話せないので、適当に話して終了。
彼女はゆるめのコーデの服を着ていることから察するに巨乳の予感がする(伏線)が、とりあえずスルー。
そして最後のフリータイムに突入する。
私はここで、競合相手が一人しかいないサバサバした性格が印象的だった女の子の元へ。
水川あさみの顔が近い。
彼女を選んだ理由は、一人暮らしで
オタク度は結構高めで、いわゆる乙女ゲーが好きだと言っていた。
ボーイズラブなシーンを文章で読んで妄想してキャーキャー騒ぐ、テンション高い系の腐女子。
うん、やっぱりここまで来ていちばん普通のOL口説いても面白くないですしね。
というか、オタク婚活にお金払ったんだから、オタク女子を持って帰らないとお金払った意味がない。
普通のOLと出会うならナンパした方が早い。
コンセプトの決まった出会い系なんだから、やっぱそういう所に行きたい。
ただ、
男も女も結局非オタの
というのはここの参加者にとって悲劇である。
彼女の名前は顔にちなんで「あさみ」で行きます。
あさみとの会話は普通に盛り上がる。来てくれると思わなかったので嬉しいと。
さっき女→男のフリータイムで行こうと思ったけど競合多いから諦めたと。
最初のフリータイムでOL子に行くのも見ていたのでやっぱりかーと思っていたと。
ああそうか、確かに相手から見られていることも考えて動かないといけない。
1回目と3回目でそれぞれ違う女の子に行った場合、1回目の女の子からは「浮気したな」という感覚になるだろうし。
とりあえずあさみには、初回の時は緊張していたのでとりあえず行ってしまった。話して見たらなんか違ったと言い訳しておいた。
私はとりあえずあさみにターゲットを絞る事にし、ほかの粉をかけた女の子は最悪連絡できなくてもいいやと考えて言った。
このフリータイム、両思いの相手に関しては「大本命カード」なるものを発動する権利が与えられている。
これを発動すると、最後の最終投票をすっ飛ばして先に二人で退室することができるのだ。
公衆の面前で勝利宣言してもらえるわけだから、本気度が相手に伝わるだろう。
1回目のフリータイムで使用できれば、他の競合相手が集ってくるのを防ぐこともできる。
(互いの同意が必要だけど)
そこで私は、「本当はこれ使いたいんだけど、今日初めて来たから最後どういう風になるか興味があるんだよね。だから第一希望にあさみさんの番号を書くから最後まで見て行ってもいい?」と聞いた。
あさみは嬉しそうに頷いた。「私も今回初参加なので興味あります!そうしましょう!」
もうあさみの連れ出しは確定である。
あとはどんなもんか、最終結果発表の時間を待つのみ。
集計中は、再び最初に座った席に戻って結果発表を待つ。
向かいに座った女の子は、入店したときに向かいに座った子になるので再会、といった趣。
「すごい人気でしたね」
と声をかけられる。番号札を見やると、この子も私にメッセージカードをくれた子だった。13/16なんだからほぼそうか。
だから私に競合相手が12人いたことを知っているということね。なるほど。
「いい人いました?」と声をかける。
彼女は確か1回目と3回目で同じ男性にフリータイムを押さえられていたはずだ。
「いえ、私は友達とどんな感じか気になって来ただけなので、帰ります」と笑った。
彼女に連絡先を聞こうかと思ったけど、あさみとの約束が成立していたらこの後私は
「カップリング成立です!」と立たされる事になる。
目の前で浮気がバレるようなもんなのでやめておく事にした。
結果発表タイムが始まって、カップルが成立した中から番号が若い順に呼ばれていく。
そして驚愕の出来事が起こった。
あ、あれは・・・

ムドー子、カップル成立。
ええええええええええ
私は( ゚д゚)
みたいな顔してたんですが、
なんか周りは普通に拍手してる。
男性は別に普通な感じの人。(見るからにオタクではあるけれど)
何が起こったかわからねえ。。。
呆然としていると、私も呼ばれたので立ち上がる。
振り返ると、あさみが立ち上がって恥ずかしそうにバインダーを手に持って歩いてくるのが見えた。
向かいの子に「おめでとうございます」と声をかけられながら拍手が鳴り響く中、あさみの手をとる。
拍手で見送られながら、鞄とコートを回収してそそくさと会場の外へ。
会場の外へ出ると、エレベーターがちょうど閉まるところだった。
中には男性と手を繋ぐムドーの姿。

ぶきみな閃光を放っておられました。
我々は気恥ずかしいので、階段でおりました。
外に出て、大きく息を吸い込む。
私「いやー、緊張した!」
あさみ「恥ずかしかった!」
彼女は、繋いでいた手を放してスカートのあたりでしきりに拭いた。
あさみ「私めっちゃ汗かきなんで恥ずかしい!!」
自分の手に目をやると、ちょっと汗ばんでました。
ありがとうございます。
おっパブ嬢さりなの記事でも書きましたが私
女の子の汗は大好物です。
(控えめに言って変態です)
あさみに、「この後どうする?」と聞くと、残念ながら夜は予定があるとのこと。
しかしまだ時刻は14時過ぎ。時間もまだまだあるので、ちょっとお茶してから帰る事にした。
会場から近すぎると後から出てくる参加者に見つかりそうなので、早々に駅前まで移動して、適当なケーキ屋でカフェ。
あさみは良く話す。
プロフィールカードを取り出してお互いの個人情報を復習。
それから、女性側に配られた中間投票のカードも見せてくれた。
確かに私の番号が書かれていて、「11番の男の子が気になっている人はあなたの他に12人います」と書かれている。
あさみ「これ見たときダメだと思ったんですよ。やっぱりかぁー、みたいな」
私「参考までに聞きたいんだけど、なんでいいなと思ったの?」
ナンパや合コンでのこういう質問は普段あんまりしにくいけど、今回は形態が違うので聞いて見る。
エッチした後なら聞けるけど、そのタイミングだと気に入った理由は後付けの方が多い。
女の子はエッチしてしまったから自分を正当化する為に、「もともとちょっと気に入ってた」という情報を付け足して自分を騙す生き物である。
その点、今の状態なら自然に第一印象でどこが良かったかを聞ける。こういう機会は貴重だと思った。
あさみ「まず一番普通っぽいなと思ったんですよね。趣味とかもアクティブだし、オタクじゃない感じがした。」
ふむふむ。
あさみ「でも話してみるとやっぱりそうかな?って思ったんですよね。深いところでは闇を抱えてるというか」
なるほど。
あさみ「変な意味じゃないんですけど、女の人にモテるタイプの人じゃないのかなって」
はいはい。
余計なお世話です。
ですがあさみさん。あなたの人物眼、
大正解です。
私は初対面で全てを見透かされる
ただ、やっぱり決め手は普通っぽさなんですね
オタク趣味に理解はあって欲しいし、認めて欲しいけど、相手がオタクじゃなくても別にいいと。
一緒に遊びに行くにも、別にアニメ観たりゲームしたりするんじゃなくて水族館とかドライブでいいと。
特に彼女の場合は自分の好きなのは乙女ゲー。
旦那と一緒にボーイズラブ小説を読むなんて考えられません。
というか一口にオタクって言っても好きな作品やらジャンルやら千差万別なわけで。
趣味の世界には口を出されたくないわけですよ。
だから別に相手が同じ趣味であることは求めてないと。
なるほど勉強になります。
とりあえず、ここまで話した限りあさみは多分かしこいので、こっちが質問するとちゃんと考えて返してくれる。
全然嫌な感触なかったので、番号交換して飲みに行く約束をして解散。
翌週の金曜夜に、渋谷に飲みに行く事にしました。
つづく。
次回完結編
今日の教訓
・オタク婚活は普通の男女が普通にもてる
・ただし、ムドーもカップル成立する
・オタクが求めているのはオタクでなくて、
趣味に口を出さないで思いっきり趣味をやらせてくれる人。