先日ナンパ幸福論で語った通り、女性から学ぶことは多い。
別に女性でなくても良いのですが、他人というのは自分とは違う人生を生きてきたわけであって、持てる技能、感性、人生観など自分とは異なるものを持っている存在であって、深く交われば交わるほどに
「そんな世界があるんだなぁ」
という驚きを得ることができる。
ただ、普通に生活していると他者から何かを受け入れるというのは意外と難しい。
本を読んでもそうで、どれだけビジネス書を読み込んで「へぇ〜なるほど」と感心しても身にはつかないことが殆ど。
これを「学び」に昇華させるのに手っ取り早い方法は私は一つしか知らない。
「じゃ、俺もとりあえずやってみよう」
これが無いとどんだけ新しい発見をしても何の価値もないことは、大学生時代に自己啓発やビジネススキルの本を読み漁って自意識だけが肥大化していった経験が物語っている。
あの頃私は月に20冊くらいビジネス書を読み漁っていたが、結局身に付いたことは一つもなかった。実際に就職して、仕事の現場で実感したもの意外は全部忘却の彼方だ。
というわけで、そんな反省から人の生き方で自分が憧れたものはとりあえずその世界に飛び込んでみることにしている。
ナンパやコンパの世界に足を突っ込んだのも、もともとはフミヤ先輩やP助氏といった悪友を羨ましく思っていずれ肩を並べたいと思ったことが始まりである。そうしなかったら多分私の女性経験は一桁止まりで、後々の良い出会い(正彼女や嫁)もゲットできなかっただろう。
前置きが長くなってしまいましたが、初回は大阪で個人投資家をしていたミナミについて。
出会いは名古屋駅周辺でナンパしていた時のこと。
ここから本編
その日私はポンコツの年上のナンパ仲間とストリートに出ていた。
この方、元々は会社の先輩の友達という遠い繋がりなのだが、よくコンパでご一緒していたのでこの頃たまにつるんで遊んでいたのである。
可愛がられていたという方が正しいだろうか。
仕事の能力はとても出来る方で、日本を代表する企業の一つで働いている。
しかし、そんな方をなぜポンコツと表現するかというと
「アキラくん、ナンパしようよ!」と誘ってくるくせに
自分では全く声かけに行かないのである。
街を歩いていて
「アキラくん、あの子達可愛いよ!暇そうだから行きましょう!」
とか言うくせに、いざ声かけの際は第一声を私にぶん投げなのである。
そのくせ、ほかの男友達と飲む時には俺ナンパできると豪語し、「この間の女子大生の子は良かったですよね!アキラくん!」と
太鼓持ちを求める
実にしょーもないプライドの持ち主である。
あと、どうにもこうにもアンダー20の女の子が好きなので、ナンパしてて18、9の女子大生だった時も普通に飲みに誘うので私はちょいちょい苦言を呈していた。
私はナンパやコンパにあたって
コンプライアンス遵守
を標榜しているので、未成年に酒は飲まさない。というか、よっぽどのことがない限り放流する。
だって怖いじゃないですか。炎上社会なんだから。失うものが多い社会人にとってコンプライアンスは大切。
ただ、自分もこの頃は駆け出しだったのでたとえポンコツ氏であってもコンビナンパの相手がいるというのは心強かった。
これは理解して貰えると思うが、ナンパ初心者の頃はやっぱり地蔵する。私のような小心者は特にだ。
(地蔵=ビビって声かけられず立ちすくむ様)
その地蔵対策に相方の存在は大きい。人間誰しも虚栄心があると思う。その虚栄心すら利用してこそ一流への近道であると私は思っている。
友達の前だからビビって声かけられないなんて恥ずかしい、という見栄を張りたい一心を利用して自分にプレッシャーをかけるのである。
こうして制約と誓約によりブーストされた念能力で女の子に声をかける。勇気なんてものは虚栄でもいいのだ。とりあえずやると言った事を実行できれば成長は後からついてくる。
そんなわけで、実際はポンコツ氏は声かけ後の挟み撃ちトークもぜんぜんダメダメでむしろ足手まといなわけだが、10コも年が離れているのにこんなしょうもない遊びに付き合ってくれる時点で貴重な友人であることには変わりないので華を持たせたりしていた。
その日は名古屋の栄から名古屋駅まで地下鉄二駅分をずっと歩いてストリートナンパ。ここまで歩いてきてしまったということは、女の子は全く引っかからなかったということだ。
こんな日もあるさ。と自分に言い訳をしようという甘い考えが頭をもたげる。
しかし、3時間ウォーキングして釣果ゼロとは散々な有様。諦めて帰ろうかどうしようか。
しかも今日は雨の中である。傘を購入して傘をささずに歩いている女の子の隣を歩いて女の子が雨に濡れないように傘をさしてあげる
「英国紳士ナンパ」
なる作戦を実践していたが、地下街が発達している名古屋では外を歩いている女の子を発見してもすぐに地下に入られてしまい殆ど意味を成さなかった。
どちらともなく言い出した。
「最後ふだん行かない名駅の西口行ってみましょうか」
そこに行っても何かがあるとは到底思えなかった。
でも環境を変えることに縋りたかった我々は名古屋駅の西側に出て見ることにした。
百貨店が軒を連ねる
ナナちゃん人形の通り。
あとはミッドランドスクエアの脇から国際センター駅に向かって伸びる通りの両脇に飲み屋が軒を連ねる
名駅4丁目のどれか。
全て名古屋駅の東側である。
あとは鉄道警察の目を気にしなければ名古屋駅のコンコース内は人通りが多いし、構内の待ち合わせスポットである金時計もナンパはできるかも。
(ただ、待ち合わせスポットでのナンパは彼氏トラブルの危険があるから基本的にやらない)
一方名古屋駅の西側は繁華街というより歓楽街で治安が悪く危険な地域とされている。飲み屋も有るには有るが、ガラの悪い人が多いのであまり足を踏み入れない。ビジネスホテルが多くてその需要に対応するかのように風俗店も多い。もともとの赤線地帯だった大門もこちらのエリアだ。
出会いには期待できそうにないがとりあえず一周だけ。そう心に決めて歩き始め、ぐるっと街を一周する。
しかしそもそも女の子がいない。2人組にこだわらず探してもそもそも人通りも殆ど無いのである。雨足もだんだん強くなってきた。
もう諦めかけたその時、後ろからスーツケースを引き摺る音と一緒にバタバタと足音がした。
見やると女の子が2人、走ってくるところだった。片方はともかく、もう片方は魚類のように目が左右に離れている。
ええい、ままよ!
私はリレーの第2走者のごとく、彼女らが我々を追い越そうという時に走り始め、傘を差したまま並走して声をかけた。
私「どうしたの?そんなに急いで!」
女子「あっ、傘ありがとうございます!高速バスに乗り遅れそうで!!」
名駅の西口は高速バスの発着場になっている。なるほど。
私はもうナンパとか関係なく、人助けのつもりで行動することにした。こういう時は一期一会、旅人を助けることにしている。
私「スーツケース持ってあげるから貸して!」
傘とスーツケースを交換して、スーツケースを担ぎ上げて私が駆け出す。
ポンコツ先輩、坊主よりブスのが全然マシですよ。だって、ゼロを何倍にしても1にはなりませんからね。
ブスだって3回コンパを繋げれば可愛い子が1人くらいには繋がったりする。だから頑張りましょうよ。
私はポンコツ氏に何度もそう主張していた。
引き摺って走るより担いで走った方が全然速い。
女子「あのバス!」
見ると、大阪行きのバスが停留しているのが見える。バスはまだ停車していて、運転手が荷物の積み込みをしているところだった。
「間に合った!」
私は聞こえよがしに大きな声を出して運転手にアピールした。運転手が振り向く。
バスの脇まで走って、振り返ると3人が駆けてきた。
女子「ありがとうございました!」
ハイタッチして、乗客名簿へのチェックを促し、その間に息を整える。
私「良かったね間に合って」
女子「すいません本当にお礼したいんですけど時間なくて」
私「大阪から来たの?」
女子「はい。大高でフェスがあったんですけど、飲みすぎちゃってギリギリでした」
彼女は息を切らしながら笑った。
私「たまに出張で大阪行くからその時に良かったら飲みに行こうよ」
女子「あ、ぜひ!」
我ながら非常に爽やかなナンパだ。
こっちは完全に狙ってやってるわけだけど、向こうはたまたま通りすがりの超親切なサラリーマンに助けられたとしか感じていないだろう。
それもまたナンパの良いところかもしれない。ナンパマン、紳士であれ。
バスは彼女らを乗せて走り去っていった。
なお、ポンコツ氏は
「あんなブスでしかも大阪の女の子の番号聞けても意味ないんじゃないですか?アキラくん良く聞きましたね〜」
と、明らかに私を見下す発言をしていたが気にも止めなかった。
坊主ではない、1バンゲ。こうして成長して行ければ良いやとこの頃は感じていたからだ。
そしてこの数ヶ月後、彼女とは出張で訪れた大阪で再会する。
(つづく)